2025/07/02 23:27


社員が職場に求めるものは、給与や福利厚生だけではありません。


「この職場は居心地がいい」と感じられるかどうか――

それが、定着率や働く意欲に大きく関係しているのです。


そんな“空間の快適さ”に、香りがどのように作用するかをご紹介します。




▶︎「空気感」も離職理由の一つ

リクルートワークス研究所などが実施した調査によると、
**離職理由の上位には「職場の人間関係」「雰囲気」「ストレス」**といった要因が常に挙がっています。
つまり、“空気の質”が働き続けるかどうかの判断基準になっているというこ



▶︎香りが「快適さ」や「心理的安心感」に寄与する理由

香りは、嗅覚を通じて脳の**大脳辺縁系(感情)視床下部(自律神経)**にダイレクトに届きます。
これは他の五感にはないルートであり、香りによって感情が即座に変化する理由でもあります。

たとえば、**柑橘系の香り(リモネンを含む)**には以下のような効果が示されています:

  • 気分のリフレッシュ

  • ストレス軽減

  • 自律神経の安定(交感神経の活動抑制)

【参考文献】
Komiya, M., Takeuchi, T., & Harada, E. (2006). Lemon oil vapor causes an anti-stress effect via modulating the 5-HT and DA activities in mice.
Behavioural Brain Research, 172(2), 240–249.



▶︎香りと職場環境の研究例(人への影響)

ベルガモット精油の拡散が、医療従事者のストレスや疲労感を軽減したという報告もあります(台湾の看護師26名への実験)。

  • 「不安」「疲労」「落ち込み」などのスコアが使用前より有意に低下

  • HRV(心拍変動)にも一部改善傾向が見られた

【出典】
Chuang, C.-M. et al. (2023). Effects of bergamot essential oil inhalation on stress and autonomic nervous activity in nurses.
PMC Article

※なお、ストレス改善は主観評価が中心で、離職率の具体的数値との関連性は報告されていません。




▶︎香りで働きやすい職場を作るアイデア

エリアおすすめ精油効果
受付・ロビーグレープフルーツ、ベルガモット明るい印象/心理的ハードルを下げる
休憩室ラベンダー、スイートオレンジ緊張のリリース/感情の安定
執務室レモン、ローズマリーリフレッシュ/集中力サポート

香りは、社員一人ひとりの感情に直接働きかける「空気の潤滑油」。
心地よく整えられた空間は、働く人にとって「安心していられる居場所」になるのです。




▶︎導入前に大切なこと

  • 香りには好みや体調の個人差があります

  • テスト導入や香りの強さの調整が必要です

  • 換気や共有スペースでの使用時は、同意をとることが理想的です


※注意事項

本記事の内容は、実際の研究データに基づいていますが、すべての人に同様の効果を保証するものではありません。

体質や環境に配慮しながら、安全かつ心地よくご活用ください。


次回予告

「香りが“企業の印象”を変える。ブランディングに活きるアロマ戦略」
\“記憶に残る会社”になるために/